
小学校の6年間をともに過ごしたランドセル。卒業を迎えても、まだしっかりした状態のまま、押し入れで眠っているご家庭は少なくありません。「捨てるのはもったいない」「どこかで役に立ててほしい」——そう考えたとき、選択肢のひとつになるのがランドセルの寄付です。
この記事では、ランドセルを寄付する具体的な方法や費用、送る前に確認したい注意点を、はじめての方にもわかりやすく整理しました。あわせて、ランドセルを贈るだけでは届きにくい「子どもの毎日の食卓」を支える、もう一つの寄付のかたちについてもご紹介します。
この記事でわかること
- ランドセルを寄付する4つの方法と、それぞれの特徴・費用の違い
- 寄付の流れ(申し込みから発送まで)の3ステップ
- 送る前に確認すべき5つの注意点(状態・素材・送料など)
- ひとり親家庭の子どもが直面する「入学後も続く困りごと」
- 月1,000円からできる、子どもの食卓を支える継続寄付という選択肢
ランドセルの寄付とは?使い終わったランドセルが子どもの学びを支える
ランドセルの寄付とは、卒業して使わなくなったランドセルを処分せず、それを必要とする子どもたちへ届ける支援のかたちです。日本のランドセルは非常に丈夫に作られており、6年間毎日使ってもまだ十分に使える状態を保っていることが多いのが特徴です。だからこそ、役目を終えたあとも「次の誰か」の毎日を支える贈り物になり得ます。
寄付されたランドセルはどこで使われる?
寄付されたランドセルの届け先は、大きく分けて海外の子どもたちと国内の子どもたちの二通りがあります。海外では、アフガニスタンやカンボジア、フィリピン、ベトナム、タイなど、通学かばんを用意することが難しい地域の子どもたちに届けられ、教科書やノートを安全に持ち運ぶための道具として活躍します。国内でも、児童養護施設や、経済的に厳しいひとり親家庭などへの支援に活用されるケースがあります。
なぜ日本のランドセルが海外で喜ばれるのか
途上国の一部の地域では、かばんを買えずに教科書を素手で抱えたり、布袋に入れて通学したりする子どもがいます。頑丈で両手が自由になる日本のランドセルは、こうした環境でとても重宝されます。「自分だけのかばん」を初めて手にしたことが、学校へ通い続けるきっかけになったという声も届いています。多少の使用感や、内側の名前の記入があっても、現地では気にせず喜ばれることがほとんどです。
寄付という選択が持つ意味
ランドセルを寄付することは、子どもにとっては物を大切に使い続ける循環を学ぶ機会になり、親子で社会貢献を体験するきっかけにもなります。新しく作る資源を減らし、廃棄物を抑えるという環境面のメリットもあります。「捨てる」でも「しまい込む」でもなく、「次につなぐ」——その選択が、思い出を未来の誰かの一歩に変えていきます。
ランドセルを寄付する4つの方法【ルート別に比較】
ランドセルの寄付先は一つではありません。目的や手軽さ、負担できる費用によって、選ぶべきルートが変わります。まずは全体像をつかみましょう。

国内の子ども・施設へ届けるリユース団体
使わなくなった品物を国内外へリユースするNPOなどに送る方法です。ランドセルだけでなく、文房具やおもちゃ、古着などをまとめて受け付けている団体もあり、届いた品がどう使われたかを写真で公開している「見える化」に取り組む団体もあります。基本は郵送での受付で、全国どこからでも寄付できるのが利点です。送料は自己負担になるのが一般的です。
団体によっては、寄付された品を現地のリサイクルショップで販売し、その売上の一部を孤児院やNPOへ寄付するという仕組みで運営しているところもあります。焼却による環境負荷を減らしながら、途上国の子どもたちの支援にもつながる循環型のモデルです。どの団体も運営のかたちが少しずつ異なるため、「自分のランドセルがどこで、どう役立つのか」を具体的にイメージできる団体を選ぶと、寄付後の満足感も高まります。
海外の子どもへ届ける国際協力団体
海外の子どもへランドセルを届ける国際協力NGOもあります。たとえば、国際協力NGOのジョイセフが行う「思い出のランドセルギフト」は、2004年の開始以来、累計でおよそ27万個のランドセルをアフガニスタンへ届け、特に女の子の就学を後押ししてきた取り組みとして知られています。こうした団体では、ランドセル1個あたりの海外輸送費を寄付として負担する仕組みになっていることが多く、輸送費の目安は1個2,500円程度が一般的です。なお、国際情勢によって輸送や受付を一時的に停止していることもあるため、申し込み前に最新の受付状況を必ず確認してください。
店頭回収・キャンペーンを利用する
大型商業施設などが、国際協力団体と連携してランドセルの店頭回収を実施することがあります。買い物のついでに持ち込める手軽さが魅力ですが、実施時期や受付店舗が限られること、社会情勢によって回収そのものが見合わせになる年もあることに注意が必要です。利用する際は、その年の実施状況と受付方法を事前に調べておきましょう。
買取・リメイクして支援につなげる
状態のよいランドセルは、買取サービスを利用して現金化し、その金額を寄付に回すという方法もあります。また、ランドセルの革を使ってミニランドセルや小物にリメイクし、思い出を手元に残す選択肢もあります。寄付とは少し異なりますが、「モノを活かす」という点で近い発想です。買取は状態によって対象外になることもあるため、事前確認が欠かせません。
ランドセル寄付の流れ 3ステップ
「寄付してみたいけれど、何から始めればいいの?」という方のために、申し込みから発送までの基本的な流れを3ステップで整理しました。

STEP1 団体を選ぶ
まずは寄付先を決めます。国内へ届けたいのか海外へ届けたいのか、活動内容に共感できるか、受け入れ条件はどうかを比較して選びましょう。団体によって、受け付けているランドセルの状態や、必要な費用が異なります。
STEP2 状態確認と梱包
送る前に、ランドセルの状態を確認します。汚れを軽く拭き取り、中に忘れ物がないか、小さなポケットまでしっかり確認してください。鍵や防犯ブザー、GPSなどを入れたまま送ってしまうケースが実際に起きています。確認できたら、紙袋やビニール袋に包み、配送時に傷まないよう梱包します。
STEP3 申し込みと発送
団体の申し込みフォームから手続きし、必要な輸送費がある場合は支払います。その後、指定された倉庫や受付先へ宅配便で発送します。安全上の理由から、倉庫への直接持ち込みは受け付けず、配送業者の利用を求める団体が多い点にも注意しましょう。
1日約33円。ひとり親家庭に食品を届けます(一般社団法人あかしあ)
寄付する前に確認したい5つの注意点
せっかく送っても、状態や条件によっては受け入れてもらえないことがあります。届いた子どもが安心して使えるように、発送前に次の5点を確認しましょう。

使える状態かを確認する
多少の擦れや使用感、形の歪み、内側の名前の記入があっても、そのまま使えるランドセルなら問題ないことがほとんどです。一方で、ベルトや留め具が壊れているもの、表面の素材がボロボロと剥がれてくるものは、受け入れ不可となる場合が多いので注意しましょう。修理が必要な状態のものは避けるのが基本です。
素材・地域の制限を確認する
意外と見落としやすいのが素材の制限です。宗教上の理由で、豚革製のランドセルは送れない地域があります。本革製の場合、裏側に毛穴のような跡があるものは豚革の可能性があります。見分けがつかないときは、寄付先のサイトの説明を読むか、問い合わせて確認しておくと安心です。
送料・海外輸送費の負担を確認する
多くの団体では、倉庫までの送料は寄付する側の負担になります。さらに海外へ届ける団体では、現地までの輸送費をランドセル1個ごとの寄付として求められることがあります。箱の大きさや重量、配送業者によって費用は変わるため、申し込み前に総額の目安を把握しておきましょう。
団体の信頼性と透明性を確認する
大切なランドセルを託すからこそ、寄付先が信頼できるかどうかは重要です。活動報告や利用者の声が公開されているか、寄付されたものがどのように使われているかが「見える」団体を選びましょう。返礼や税制上の扱いの有無もあわせて確認しておくと、納得して寄付できます。
ランドセルの寄付だけでは届かない「毎日の食卓」
ランドセルの寄付は、子どもの「学びのはじまり」を支える、とても価値のある行動です。ただ、子どもの毎日は入学のあとも続いていきます。ここで一度、日本の子どもたちが置かれている現実に目を向けてみましょう。

数字が示すひとり親家庭の現実
厚生労働省の2022年国民生活基礎調査によると、日本の子どもの貧困率は11.5%。およそ9人に1人の子どもが、相対的な貧困の状態にあります。さらに、ひとり親世帯に限ると貧困率は44.5%にのぼり、半数近くの家庭が経済的な困難に直面しているのが実情です。
入学のあとも続く子どもの毎日
ランドセルは入学という節目を支えてくれます。けれど、子どもが本当に困るのは、その先の「毎日」です。今日の夕食、明日の朝ごはん、育ち盛りに必要な食べもの——こうした日々の暮らしは、一度きりの物では埋めきれません。生活に欠かせない食を十分にとれないことは、子どもの成長や学びにも影響します。
たとえば、給食のない長期休みに食事の回数が減ってしまう、成長期に必要な栄養が偏ってしまう、といった困りごとは、経済的に厳しい家庭ほど起こりやすくなります。子ども自身は、親を気づかって「お腹が空いた」と言えないことも少なくありません。こうした毎日の小さな我慢は外からは見えにくく、だからこそ、継続的に食を届ける支援が必要とされています。
一度きりの支援と、続く支援
だからこそ、「一度きりの物の寄付」と「毎月つづく支援」は、どちらも大切で、役割が違うのです。ランドセルが入学の背中を押すのに対して、継続的な支援は、その後の長い毎日に伴走します。両方があって、子どもの育ちはより確かに支えられます。
「モノの寄付」と「続く寄付」、あなたにできるもう一つの選択
ランドセルを寄付したいという気持ちは、「困っている子どもの力になりたい」という優しさから生まれています。その気持ちを、もう一歩先へ広げる選択肢が、毎月つづく食品支援です。

それぞれの役割の違い
モノの寄付は、6年間の思い出を次の子へつなぎ、入学や通学の「はじまり」を後押しする、確かな一度きりの贈り物です。一方、毎月の食品支援は、今日の食卓や明日の朝ごはんといった「続く毎日」を支えます。タイミングも異なり、モノは卒業や不用になったときに、食品支援はいつでも始められます。
月1,000円からできる食品支援(一般社団法人あかしあ)
一般社団法人あかしあは、ひとり親家庭に食品を直接お届けする活動を行っています。支援は月1,000円から。1日あたりに換算すると、たった約33円です。コンビニのおにぎり1つより少ない金額で、困窮するひとり親家庭の食卓に、継続的に寄り添うことができます。無理のない金額から始められ、家計の状況に合わせて金額を見直せるのも、続けやすさにつながっています。

寄付金がどのように使われるか
あかしあの継続寄付は、いつでも金額の変更や停止ができ、活動報告を通じて使い道が「見える」かたちで届きます。支援がどのように子どもや家庭の役に立っているかを知りながら続けられるので、はじめての方でも安心して参加できます。使わなくなったランドセルを寄付するのと同じ「子どもを支えたい」という気持ちを、毎日の暮らしへとつなげていく選択です。
よくある質問(FAQ)
Q1. どんな状態のランドセルでも寄付できますか?
多少の傷や使用感、内側の記名程度であれば寄付できることがほとんどです。ただし、ベルトや留め具の破損、表面が剥がれてくるほどの劣化があるものは、受け入れ不可となる場合が多いです。修理が必要な状態のものは避けましょう。
Q2. ランドセル以外の学用品も一緒に送れますか?
団体によっては、文房具や古着、おもちゃなどを一緒に受け付けている場合があります。ただし未使用品に限るなど条件があることもあるため、送る前に各団体の受け入れ品目を確認してください。
Q3. 寄付にお金はかかりますか?
ランドセル自体は無償で寄付できますが、倉庫までの送料は自己負担が一般的です。海外へ届ける団体では、これに加えて海外輸送費を寄付として負担する仕組み(1個2,500円程度が目安)になっていることが多いです。
Q4. 商業施設での回収はいつでもやっていますか?
店頭回収は、実施時期や受付店舗が限られます。社会情勢によって、その年の回収そのものが見合わせになることもあります。利用したい場合は、最新の実施状況を必ず事前に確認してください。
Q5. お金の寄付とモノの寄付、どちらがよいですか?
どちらが優れているというものではなく、役割が違います。ランドセルは入学の「はじまり」を、継続的な食品支援は入学後の「毎日」を支えます。両方を組み合わせることで、子どもの育ちをより長く支えられます。
まとめ
使い終わったランドセルの寄付は、思い出を未来の誰かの一歩に変える、あたたかい選択です。寄付先は国内リユース・海外へ届ける団体・店頭回収・買取リメイクの大きく4ルートがあり、状態や素材、送料などを確認して、信頼できる団体を選ぶことが大切です。
そして、子どもの困りごとは入学の日で終わりません。ひとり親世帯の貧困率は44.5%。半数近くの家庭が、日々の食卓に不安を抱えています。ランドセルという一度きりの贈り物に加えて、毎月つづく支援があれば、その先の毎日にも寄り添えます。「子どもを支えたい」という同じ気持ちから、あなたにできるもう一つの一歩を、ぜひ考えてみてください。